薬剤師のためのWeb研修・教育研修情報サイト![]() ![]() |
|
「ドラッグストア業界2002年の業績と新しい取り組み」(2) 先月号からの続きでドラッグストア業界が抱える問題の二つ目を説明する。 2. セルフ売り場の不振 必須商品であるHBA(健康美容商品)に加えて、人々のワンストップショッピングニーズを充たすために食品や雑貨の品揃えを強化するというチェーンドラッグの柔軟な商品構成は、かつては他の業態の憧れの的であった。しかし近年、約260坪のチェーンドラッグのセルフ売り場の商品構成や売り場作りは従来と同じで何ら目新しさがなく、顧客に飽きられてきている。その結果、以前はチェーンドラッグで購入するのが当たり前であった健康美容商品までも他の業態に奪われ始めている。そのため顧客にモWao!モと言わせるような魅力のある店作り、フリースタンディングの便利な立地、長時間営業・ワンストップショッピング機能の充実による便利性の強化、競争力のある価格等、抜本的な改革に乗り出している。 その一つが330店舗を持つブルックスドラッグが実施している手法である。このチェーンはいくつかの選択された店舗にダーマ・スキンケアセンターを設置した。そこではお肌に合ったケアが出来るようなカウンセリング能力があり、且つドラッグストア専売のヨーロッパからのコスメスーティカル機能を持つドクターコスメを取り扱っている。全米第二位のドラッグチェーンCVSも、フィンランドからのコスメスーティカル機能を持つ商品を取り扱い始めた。その商品もドラッグストアチャネルしか拡販しないという契約をメーカーと交わされている。このように、他の業態と戦うためにドラッグストア専売品という戦略をとり始めている。又ドラッグストアは他の業態との差別化を図る目的で、調剤とセルフ売り場の協働でウエルネス分野の強化に乗り出した。調剤における主要セクターとして認められていることと、消費者のウエルネスに対する関心の高まりから、ドラッグストアはそのオペレーション、マーケティングそして考え方において革新を求められているのである。ウエルネス分野における需要は急拡大しており、実際に米国のヘルスケア市場は1.5兆ドルであるが、次の10年で市場は倍になると予測されている。それは高齢社会の到来による需要増、高価な新薬の登場、NBメーカーの調剤薬消費者への直接コンタクト活動、そしてセルフケアの習慣化がマーケットを大きくしていくからだ。 そして21世紀のチャンスは各個人のウエルネスの問題をどうやって解決していくかということにある。一人一人の購買履歴の追跡は市場拡販に大きな機会を与える。そしてアレルギー・偏頭痛・コレステロール・糖尿病などに関しての治療法に関する消費者の考え方や発想を変えることが出来る。例えば調査によると、リュウマチの人のうち32%は調剤薬で治療をし、たった31%がOTCで治療をしている。今までは消費者は治療のためにOTCのタイレノールとかエクセドリン等のブランド選びをするほかなかったが、現在は治療をより効果的にするために、もっと多くの選択肢が得られるようになっている。例えばリュウマチ治療として、ある日は痛み止めのためにOTCのタイレノールを選択し、それから調剤薬のステロイドを服用し、次の週はサプリメントのグルコサミンをとると言うようなことが出来る。調査によるとリュウマチの治療のためにOTCと調剤薬の両方を使用している人はたった19%しかいないということである。このように個人の購買履歴を追跡することで、その人にとってよりよい治療法の提案が出来、他の商品の販売の可能性が高まる。こうした購買履歴調査から次の様なことも分かった。 1. 人々はそれぞれのヘルスケアニーズを持っているので、一つの病気の症状を治すという発想ではなく、 個々人の総合的ヘルスケア向上と言う観点から扱って欲しい。 2. 治療でなく、予防という観点に非常に関心が高い。 3. セルフメディケーション発想の促進により、自分の健康や快適生活により積極的に取り組む姿勢がある。 4. 調剤薬・OTC・ビタミンやミネラル・ナチュラルフーズ等健康に関連する商品を多く使用している。 5. 肥満・偏頭痛その他多くの軽い病気をもっている人が、治療に取り組んでいない。 これらの調査結果からもウエルネ分野の可能性が高いのが分かる。従来ドラッグストアは調剤及びOTCとその他の商品は別ものとして捉え、レイアウト・販促・インセンティブなどに組まれるケースが殆どであった。しかし考えてみれば、薬を買う患者とその後で化粧品や飲料水を購入する人は同じ顧客つまり一人のカスタマーであるということに気がついた。その一人の顧客のニーズを満足させるために、ドラッグストアは扱っている調剤薬・OTC・化粧品・食品・ライフスタイル商品・ウエルネス商品・エクササイズ商品等をトータルパッケージとして捉えて顧客のウエルネスの問題解決(ソリューション)に取り組み始めたのである。ソリューションというのは、例えば血圧の高い人に対して、血圧の治療という部分的な捉え方でなく、血圧の治療も含めての快適生活という捉え方だ。調剤薬のヘビーユーザーに対しては、OTC・ビタミン・食品・エクササイズ商品など患者のニーズに沿って提案をする。 今までドラッグストアは治療を求める人を対象にしてきたが、実際には治療を必要としているのにしていない人が多い。例えば肥満で治療が必要だと思っている人でも、66%の人はそれをしていないのが現状だ。ドラッグストアは今やこの未治療者の発掘とケアが大きなビジネスチャンスであるとの考え方をとり入れ力をいれ始めている。 |
このページのトップにもどる |
|
|
![]() Copyright 2003-2007 UNIKE SOFTWARE RESEARCH CO.,LTD. All rights reserved. |