欧米ドラッグ最新事情 第13回
「最近のドラッグストアにおけるビューティーケアの動向」
米国のドラッグストアは、セルフ売り場強化の一環としてパーソナルケア商品群に大変力を入れ、調剤やヘルスケア以外のデスティネーションストアにすべく努力をしている。例えばエカードドラッグはコスメティック、写真、そしてビューティーケアに力を入れた新しいプロトタイプを作り上げた。CVSはFSPから顧客の動向を読んだ結果として、化粧品コーナーを店の入口や中央に配置した。ウォルグリーンは商圏の顧客に合うように、ベーシックデパートメント・マネージメントというプログラムを開発し、商圏の顧客に沿ったパーソナルケア商品の充実に努めた。ブルックスファーマシーは選択された店舗にアップスケールのスキンケアセンターを設置した。そしてどのドラッグもパーソナルケア商品群に関して「ルッキンググッドとフィーリンググッドは密接につながっていること」を訴求した。そして新しい成分やその使い方などを消費者に知らせる“Do
You Know?”(ご存知ですか?)アプローチを積極的にして消費者啓蒙に励んだ。このアプローチは、消費者は自分に最適なモノを知らないか又は忘れている、という考えからだ。この展開が功を奏し、消費者は年齢や性にかかわらず身近なドラッグストアで、効能効果を訴求したパーソナルケア商品を以前より購入するようになった。ベビーブーマーの人々はヘルスや若さを促進する商品に対して少々高い価格帯でも身近なドラッグストアでパーソナルケア商品を購入する。また高品質の新しい商品や効能効果の高い商品に対しては、若さを維持するという
“Do You Know?” アプローチで、ベビーブーマーだけでなく20台や30代の人々も引き付けた。その場合非常に効き目のある殺し文句はやはり「アンチエイジング」に関する言葉であった。女性や男性にとって年齢にかかわりなく若さを保つというのが一番の関心であることを物語っている。ティーンズカテゴリーも非常に成長しており、ビューティーケア商品に年間100億ドル消費するといわれている。そのため各ドラッグストアは市場が大きく成長していることと将来の客作りということで、ティ−ンズ化粧品に力を入れている。彼女らのニーズは、最新の商品が必ず品揃えされていること、店の人が顧客として大切に扱いきちんと相談にのってくれること、またティーンズ売り場としてくくり過ぎないことなどである。男性化粧品カテゴリーにも大きな変化が見られ、今までのかみそりやアフターシェーブローションだけの世界から、女性が身づくろいするような化粧の分野まで需要が広がってきている。ニベアやニュートロジーナのように男性向けのスキンケア商品も市場化されたし、ヘアカラーや除毛のカテゴリーも確立されるようになった。そのため昔からあるオールドスパイスやアディダスも若者向けに再度製品化され、カテゴリー強化に努めている。
それでは二つのカテゴリーの動向を説明しよう。
1) スキンケア
順調な成長を示した。女性にとっての一番の憧れは若々しい肌を維持することであり、そのためには少しでも効果があるようなクリームやローションに対しては喜んでお金を出しているということだ。実際にファーミングやアンチエイジングを訴求した商品は15%の成長を示した。これらを求めたのは40代や50代のベビーブーマーだけでなく、20代〜30代の人々も若いうちからのケアという考えで使い出している。また女性の社会進出から来るストレスにより、にきびの問題がテイ−ンズ特有のものでなく大人にも波及し、現在では大人のにきび市場の方がティーンズ市場を追い越す勢いになっている。ドラッグストアで人々は手ごろな価格のスキンケア商品を購入しているが、これらの手ごろ価格の商品もテクノロジーの発達や新しい成分の導入により良い品質を提供しているため、ドラッグストアはヘルシーなスキンケアのためのデスティネーションストアとして位置付けされ始めている。また長引く経済の停滞は、人々を高級なブランドショップでの購入から、ドラッグストアでの購入へとスイッチさせている。そのためブルックスファーマシーではダーマ・スキンケアセンターを6店舗に設置した。調剤室の隣に売り場を設置し、フランスから呼び寄せたトレーナーによって訓練されたスキンケアコンサルタントを配置した。そしてコンピューターによるお肌の診断も出来るようになっている。品揃えとしてはアップスケールなフランスのVichyやAveneを導入し、ウォルマート等の安売り小売り業との品揃えによる差別化を図った。CVSではヘルシー・スキンケアセンターというフルサービスのスキンケアコーナーを設置し、コスメティシャンの配置とやはりVichy、AveneそしてLumene等ヨーロッパブランドを導入した。いずれの場合もスキンケア売り場のアップスケール化の目的は安売り小売り業との差別化を図ることである。ヨーロッパの高級スキンケアブランド、高めに設定したプライスポイント、売り場の高級な雰囲気とカウンセリングの提供をする。一方通常アメリカブランド商品の充分な品揃えという売り場の充実により、これらの店舗が消費者からビューティーのデスティネーションストアとして位置付けられることを狙っている。今のところこの戦略は大変成功をしている。この夏米国の天候は余りよくなくない日が続いた。そのため日焼けクリームや日焼け止めクリームの売れ行きは横ばいであったが、サンレス・タニング(日光を浴びなくても、日焼けした状態の色にする商品)がニュートロジーナから市場化され非常に売れた。これは紫外線の害は恐いが肌を焼きたいという願望の人々にも大いに受けた。
2) オーラルケア
歯磨きで20.8%、ハブラシで10.9%、マウスウォッシュで6.6%とオーラルケアは大きな成長をした。まず歯を白くするホワイトニング商材が急進しトータルカテゴリーを引っ張った。調査によると人々の50%強が白い歯を望んでおり、結婚相手又は恋人候補の人は歯が白いことを条件にする人が71%にものぼった。これが白い歯商品マーケットを過去5年間で300%も成長させたのだ。歯ブラシ市場も高付加価値の商品の導入、電動歯ブラシそして舌清掃器具などが成長させた。電動歯ブラシは子供マーケットにはなくてはならないものになった。電動歯ブラシが導入されても、通常の歯ブラシの売上げが落ちなかったのは人々は両方を使用しているからだ。また「風邪が長引くのは菌のついた歯ブラシを使い続けるからです。風邪を引いたら歯ブラシを頻繁に変えましょう」キャンペーンの展開がこのマーケットを成長させた。人々は白い歯や歯のケアに効果のあるものにはお金を喜んで支払っている。
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