薬剤師のためのWeb研修・教育研修情報サイト

infoスクールタイトル
■松村 清のWeb研修(欧米ドラッグ最新事情)トップページ
■第14回「高い顧客満足度で活躍する独立ドラッグ店」

<< 第13回 | 第15回 >> ]

欧米ドラッグ最新事情 第14回
「高い顧客満足度で活躍する独立ドラッグ店」

米国で2003年に行われた消費者レポート調査(32,000人を対象)によると、消費者が調剤薬を求めるベストな場所として選んだのは、ウォルグリーン、CVS、ライトエイドのような大手ドラッグチェーンでなく、約25,000店ある独立ドラッグ店だった。ドラッグストア業態対象の調査で、「サービス」「スピード」そして「情報提供」という項目で行われた結果である。

アメリカ人の47%は調剤薬をドラッグストアから求めている。独立ドラッグは長期に渡って衰退を続け、数年前には消えてなくなるとまで予測されていた。それが現在では消費者の強い支持を得て業績も急回復してきており、調剤薬をもらうのにベストな場所という評価を得るまでになってしまった。独立ドラッグの顧客の85%は独立店で調剤薬を求めることに満足をしている。一方チェーンドラッグではたった58%の人しか満足していない。又スーパーマーケットやディスカウントストアは、チェーンドラッグより顧客のケアの仕方、礼儀正しさ、商品知識、そして待たせないサービスでは高い評価を得ている。


◆消費者が選ぶファーマシーランキング

順位  チェーン名   スコア   店舗の性格 
1 独立店 88 10店舗以下の企業
2 メディシン・ショップ 87 調剤主体の小型ファーマシー。FC制
3 スナイダー 79 リージョナルチェーン
4 オスコ 77 セイボンと同じ会社でナショナルチェーン
5 ドラッグエンポリアム 76 倒産
6 ブルックス・ファーマシー 75 リージョナルチェーン
6 ロングス 75 リージョナルチェーン
6 ウォルグリーン 75 ナショナルチェーン
6 セイボン 74 オスコと同じ会社で、ナショナルチェーン
10 エカード 71 大手リージョナルチェーン
11 CVS 70 ナショナルチェーン
12 ジュノビーズ 70 エカードの傘下
13 ライトエイド 69 ナショナルチェーン


現在85%以上の人が何らかの医療保険に入っている。そのため店選びのためにはまず保険がきくかどうかが第一条件になる。以前は効率が悪いということで保険会社に契約してもらえない独立ドラッグが多かった。それが独立ドラッグの衰退の要因でもあった。しかし現在ではほとんどの独立ドラッグが各社の保険を扱っている。それは保険会社が独立ドラッグの重要性に気づいて彼らと契約をするようになったことと、33州の「Any Willing Provider法」によって、保険会社の契約条件に同意すればどのドラッグストアとも契約を結ばなければならないようになったからだ。そのため消費者にとっては、保険がきくドラッグストアの選択範囲が以前より広くなった。

全米に約20,000軒以上あるチェーンドラッグストアは、ドライブスルー機能、オンラインによる注文、電話による注文、オンラインによる支払い等、テクノロジーを大いに活用している。これらチェーンの店舗で最も多い苦情は在庫切れである。チェーンドラッグのロングス、セイボンやジュノビーズは、99年の前回の調査より在庫切れがずっと多くなっている。彼等は売れ筋のトップ200の調剤薬に関しては十分な在庫を持っているが、その他の調剤薬に関しては在庫が不十分なことがある。一方、独立ドラッグでは調剤の売上げが店トータルの88%を占めているため、彼らは多くの種類の薬を在庫している。その結果消費者は独立ドラッグへ行って在庫切れという不便さを味わうことが少ない。また欠品の場合も、独立ドラッグは80%の確率で1日で調剤を揃えてくれるが、チェーンドラッグやスーパーマーケットでは55%に落ちる。又チェーンドラッグやスーパーマーケットでは薬剤師の数に比べて顧客が多過ぎて調剤を受け取るための待ち時間が非常に長く、約束した時間に出来ていないことも多い。そして親身なサービスも十分でない。またOTC、化粧品、雑貨、そして食品も販売するので、レジで待たされることが多い。40%の消費者は調剤室で待たされることに対して苦情を述べている。1年間に約40億枚が処方されているが、5500人の薬剤師が不足していることもこの待たされる現象の原因でもある。

スーパーマーケットで調剤機能を持っている店は約9000店舗だが、ワンストップショッピング機能の強化からその数は年々増加している。多くのスーパーが調剤室を入り口側に設置し、調剤を求める顧客に便利性を提供している。しかしこれは消費者のプライバシーを守りきれないという欠点があるため、カウンセリングは少なめである。

コストコやウォルマート等のマスリテーラーは色々な商品を販売しているが、彼らの武器は低価格販売である。オンラインを除いた業態の中では、マスリテーラーは最も調剤薬価格が安く、保険に入っていない米国人(約17%)にとって、これらの低価格の調剤薬は魅力的である。

オンラインで注文すると郵便で送ってくるというメールサービスの成長は著しい。便利ではあるが薬剤師と顔をあわせてのカウンセリグを受けられないので、ビタミン、ハーブ、その他の大衆薬等を自分の判断で摂取しなければならない。また薬が送られてくるまで数日待たなければならない不便もある。しかし価格については、下記の表のようにオンラインがどの業態よりも安い。


◆業態別価格(現金購入の場合)

業態 価格
(1ヶ月間5種類の調剤薬を購入した場合)
オンライン $412
ドラッグストア.COM $398
ウォルグリーン.COM $415
マスリテーラー $416
コストコ $399
ウォルマート $425
スーパーマーケット $464
アルバートソン $454
クローガー $479
独立ドラッグ $470
チェーンドラッグ $481
CVS $478
ウォルグリーン $484


調剤薬の専門性強化のためには、よりパーソナル(親身)なケアが重要になる。薬剤師からの親身なカウンセリングに関しては、消費者は独立ドラッグが一番良いと述べている。独立ドラッグは身近なところにあるし、薬剤師に近づきやすいし、相談しやすい。そして独立店の薬剤師は医療・薬そして大衆薬についての知識が非常に豊かである。そして彼らは疾病管理、生活指導、店内における健康チェック(コレステロール)をしてくれるし、特殊な病気の粉末調剤薬の調合から薬の配達までしてくれる。また多くの独立ドラッグは卸店が運営する「グッド・ネイバー」や「バリュー・ライト」に加入しており、単なる商品の供給のみならずマーケティングの援助やプライベートブランドの供給も受けていることが、独立ドラッグが消費者から強い支持を得ている要因でもある。





このページのトップにもどる


Copyright 2003-2007 UNIKE SOFTWARE RESEARCH CO.,LTD. All rights reserved.