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■第22回「ビューティーケアを差別化の武器として使い始めた米国のドラッグストア」

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欧米ドラッグ最新事情 第22回
「ビューティーケアを差別化の武器として使い始めた米国のドラッグストア」

◆2004年度ドラッグストアにおけるビューティケア売上高

業態 売上高
(ウォルマート不含)
売上高
(ウォルマート含)
トータル 164億ドル(-0.8%) 260億ドル(+1.2%)
チェーンドラッグ 70億ドル(+2.2%) 70億ドル(+2.2%)
スーパーマーケット 58億ドル(-4.8%) 58億ドル(-4.8%)
ディスカウントストア 36億ドル(+0.3%) 132億ドル(+3.5%)

(注)トータルはドラッグストア+スーパーマーケット
+ウォルマートを除いたディスカウントストアの売上高


◆2004年アイテム別ビューティケア市場

アイテム トータル(百万ドル) ドラッグストア(百万ドル)
アイメーキャップ 748 (+0.5%) 428 (+2.7%)
フェースメキャップ 871 (+1.8%) 517 (+5.5%)
リップメーキャップ 618 (-8.1%) 397 (-7.1%)
フェーシャルクレンザー 522 (-0.6%) 232 (-1.3%)
フェーシャル保湿剤 262 (1.8%) 136 (+1.1%)
女性用フレグランス 327 (-5.3%) 219 (-1.7%)
ヘアコンディショナー/クリームリンス 773 (+0.6%) 256 (+2.7%)
ヘアスプレー 363 (-5.4%) 141 (-3.3%)
ヘアスタイリング/ジェル/ムース 558 (+0.6%) 250 (+3.8%)
ハンド・ボディーローション 744 (-4.4%) 351 (-4.2%)
ネイルポリッシュ 241 (-5.4%) 153 (-4.3%)
使い捨てカミソリ 390 (-0.5%) 122 (+5.7%)
ふけ用シャンプー 238 (-3.8%) 82 (-1.9%)
レギュラーシャンプー 989 (-1.2%) 272 (+2.0%)
シェービングローション 322 (-0.5%) 175 (-0.7%)


ビューティーケア市場は、ウォルマートを除いた場合わずかだがマイナス成長を記録した。ディスカウント業態はウォルマートを含むと3.5%成長し、ウォルマートの強さをまざまざと見せ付けられた。一方、チェーンドラッグのビューティ−ケアは3年連続して売上げを落としていたが、昨年やっと前年対比で成長した。ウォルマートを意識した戦略をとり、ウォルマートの低価格戦略に対抗するために、専門性の高い商品の品揃えの充実とカウンセリングの強化、そしてギフトセットや価格の魅力のあるバスケアやコスメティックキットを提供した結果である。またドラッグストアは、スーパーマーケットのビューティーケアの狙い撃ち戦略をとって、ビューティーメーカーと組んで売り場作りに力をいれ、魅力のある売り場サイン、什器、専門性に富んだチラシ作りをした。その結果スーパーマーケットは前年比で5%近くも落ち込み、ビューティ−ケアの販路として衰弱してきている。

大手チェーンドラッグの中で、ライトエイド、CVS、カナダのKatzそしてロングスは目的来店性のあるビューティケアコーナーを作った。昨年オープンした400坪のライトエイドの「カスタマー・ワールド」プロトタイプは、ビューティーケアセクションを店内でフリースタンディングにし、中央に配置して、ビューティーセクションを中心にして顧客が店内を回遊できるようにした。顧客はどこからでもビューティーコーナーに入れるのだ。面白い試みは「ライトエイドのスペシャリストの声」ということで、顧客のビューティーに対する質問に対して、コスメティシャン、薬剤師、栄養士などからの答えが、ヘアカラーやスキンケアなどのカテゴリーサインのところに張られていることだ。薬剤師がビューティーケアに参画するのは、服用している薬と化粧品の相性などをアドバイスするためだ。

CVSは“Less Is More”コンセプトを取り入れ、以前のCVSよりビューティ−の品揃えアイテムを減少させたが、通路を広くして顧客がビュティ−ケアセクションを歩きやすくしたり、鏡など反射する材料を什器に付けた。またサンプルやテスターを店内いたるところに設置することで、人々がメーク商品を試しやすいようにした。そしてビュティーカウンセラーを配置し、相談しやすくし、またレジをビューティーケアコーナーにも設置することにより、支払いの便利性を高めた。また化粧の習慣の若年化から、キッズコスメにも力をいれており、母親が子供と一緒に商品選択している姿を目にする。

カナダのKatzのファルマプラスドラッグマートでは、210坪の店面積の40%がビューティーケア売り場に当てられている。店内は遊園地感覚の雰囲気作りをした。商品に「触って・感じて」、そして専門家のアドバイスも受けられるのだ。またロレアルと組んで、店の前面と真ん中はロレアルを主体にした店作りをした。スキンのコンピューターチェックが出来るスキンテスターバーが設置されて、顧客はヘアカラーと肌の色のマッチングチェックが出来、専門家の意見も聞けるようにした。そして定期的に美容相談会や他のイベントも行って、新製品の紹介や最新のビューティートレンドやテクノロジーを紹介している。

ロングスでは、「トータル・ビジュアル・アピール」というコンセプトによるビューティーケアが新しく作られている。通路を広くとり、ゴンドラの高さを上げたのは、他の部門との違いをはっきりさせるためと、顧客のプリバシーを保つためである。プロ用のヘアケア、ナチュラルビューティー、コスメスーティカル、スキンケアの充実により、品揃えにおいてはチェーンドラッグ業態一番の広さと深さを持っている。そして店内にはコスメトロジスト(コスメ学者)と呼ばれるるコスメティックマネジャーを配置して専門性を高めている。その結果、ロングスはHBAマーケットにおいてビューティーケアのオーソリティという評判をとるようにもなってきている。





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