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■第25回「2004年米国大手チェーンの現状」

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欧米ドラッグ最新事情 第25回
「2004年米国大手チェーンの現状」

ウォルグリーン社の2004年の業績は既に述べたので、それ以外の大手チェーン3社の状況について説明しよう。


◆2004年度業績

項目 CVS ライトエイド ブルックスファーマシー
売上高 30600百万ドル 16800百万ドル 9700百万ドル
前年比 15.1% 1.3% 4.1%
調剤売上高 21500百万ドル 10600百万ドル 6800百万ドル
前年比 17.5% 0.1% NA
調剤売上げ構成比 70.5% 63.6% 70.5%
店舗数 5375 3356 1910
平均店舗サイズ 11000sqft 12700sqft 11000sqft
店舗当り売上げ 5.7百万ドル 5.0百万ドル 5.1百万ドル


1) ハCVS

CVSにとっての2004年の大きな出来事は、会社を売却したエカードの店舗の半分を購入したことだ。ウォルグリーンと違って、CVSは買収で企業を大きくしていった。これまでもピープルドラッグ、レブコ、アーボアというリージョナルドラッグを買収してきたが、今回のも大きな買収であった。買収した店は、週40店舗のペースで店名をCVSに変えてゆき、床にカーペットをひき、低目のゴンドラ、入口から対角線の奥にある調剤室まで主通路を配置し、ビューティーケア、ヘルスケア、ホームケア、コンビニエンスケア別のカラーリングを実施していった。そして5000アイテムの品物の価格をエカードのときより下げた。これをチラシで積極的に訴求することにより、また営業時間も延長して顧客の便利性を増すことによって、今までのエカードの顧客離れを防ぐことに力をいれた。CVSとエカードでは下記の表の通り生産性が違っていた。


  CVS エカード
店舗当たり売上げ 6.3百万ドル 4.7百万ドル
1スクエアフット当り売上げ 766ドル 571ドル
一日の処方箋枚数 253枚 172枚
利益率 6.6% 2.1%
商品ロス率 0.92% 2.7%


エカード買収の結果、営業利益率は下記の表の通り5.5%から4.9%に下降すると見られているが、2005年には旧エカード店を早急にCVSスタイルに変えていくので、営業利益率も改善するともくろんでいる。


  2004年 2005年
エカード買収前 エカード買収後
売 上 げ 281億ドル 306億ドル 363億ドル
販売経費率 20.1% 19.9% 19.6%
営業利益率 5.5% 4.9% 5.5%


一方、CVSはプライベートブランドや限定販売商品にも力を入れた。例えば、スカンジナビアンスキンケアラインのLumeneやNuprin OTCブランドだ。これらの商品は2004年度に10億ドルの売上げを上げた。この成功によってCVSはさらに限定商品販売を強化している。エカードを含めない純粋のCVSは、スクラップ&ビルドを強化しており、2004年に225店舗オープンしているが、閉めた店があるので純増は88店舗だ。


2) ハライトエイド

ライトエイドは長年不振を経験し、5年前には倒産を噂される状態になったが、2004年は売上げ利益を前年比で2年連続して増加した。ライトエイドの今後の成長のためには、ファーマシーの充実が必須だ。週当たり店舗平均の調剤枚数は、ウォルグリーン1859枚、CVS1309枚、ブルックス1273枚だが、ライトエイドは1150枚と低い。そのため医師とのペーパーレス処方(eスクリプト)テクノロジーの導入を積極化している。また「リビングモアプログラム」と呼ばれるシニアロイヤルティカードプログラムを実施しており、現金調剤客に対する調剤費用の10%引きや、プライベートブランドの購買にもその割引金額を活用できるようになっている。このプログラムを2月に導入したが、最初の2ヶ月で100万人のメーンバーを集めた。また糖尿病やアレルギー対策のプログラムを進めており、全国をキャラバンで回ってそれぞれの商圏の顧客に対応している。またカスタマーワールドプロトタイプというコンセプトで新しい店作りにも励んでいる。まず店の入り口には、ライトエイドと並んでファーマシーという言葉を大きく掲示し、ライトエイド=調剤というイメージを高めようとしている。またGNC(全米NO.1のビタミンショップ)とのコラボレーションでサプリメントを強化しているが、メGNC Live Wellモも大きく取り上げ、他のチェーンとの差別化をしている。これは今まで壁面に配置されていたビューティーケアコーナーを店のセンターに持ってゆき、ビューティーのデスティネーション化をクローズアップしているものだ。いままでは壁面をビューティーが使用していたが、そこにコンビニエンスフードを配置して便利性を強化した。またドライブスルー機能を全店舗に設置すべくプログラムを進めている。ファーマシーは店の奥に配置されているが、ファーマシーが入り口からすぐ見えるように、ゴンドラを今までより低くした。そして、ライトエイドの調査によると、ファーマシーを利用するお客さんは、ファーマシーという言葉よりファーマシスト(薬剤師)という言葉を多用し、薬剤師と強い絆があることが分かったため、ファーマシーというコーナーサインに変えて、ファーマシストという言葉をつけた。またドライブスルーウインドウは車の中からも店内が良く見え、店内に入りたい気持ちを高めさせるために、ウインドウを大きなものにした。また調剤室の待合室にはテレビを設置して、調剤薬を待つ間飽きないようにまた健康情報も流している。調剤室の脇にはカウンセリングルームを設けて、細かなカウンセリングを受けたい人のためのプライバシーを考慮した。調剤室の隣はビタミンコーナーで、GNCが入っているが、週に20時間GNCから人が送られてきて、ニュートリションのカウンセリングに乗っている。


3) ハブルックスファーマシー

日本ではあまり知られていないブルックスファーマシーは、本部をロードアイランドに置き、ニューイングランドやニューヨーク州で強い企業だ。カナダのケベックにあるジーン・コチューグループが、80年代に米国に進出してきてMaxi Drugというドラッグストアを開いたが、ヤ95年に伝統ある220店舗のブルックスファーマシーをレブコより買収して、ジーン・コチュー傘下のドラッグストアとした。そして昨年度400店舗弱のこの企業は24億ドルで1539店舗をエカードから買収した結果、ブルックスはリージョナルチェーンから一躍全米第4位のドラッグストアに躍り出た。そして買収した店舗は店舗名の良く知られたエカードの名前で継続している。買収後にとったブルックスの大きなアクションは次の通りだ。

a) ヘルス&ビューティー分野の商品3000アイテムのプライスを下げ、競争力のあるものにした。

b) ダーマスキンケアセンターという名前で、ヨーロッパ的なコスメティックセクションを作り、デスティネーションストアにしている。

c) 24時間営業店舗の増加。

d) ゴンドラを低くし、店内を見やすくした。





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