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■第27回「米国リージョナルチェーンの最新情報」(パート2)

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欧米ドラッグ最新事情 第27回
「米国リージョナルチェーンの最新情報」(パート2)

先々月号で活躍するリージョナルチェーンを(パート1)として紹介したが、今回は(パート2)として成功例・失敗例を含め、日本のローカルドラッグに参考になる企業を選んで紹介する。


◆米国リージョナルチェーン2004年度の実績

チェーン名 2004年度
売上げ
前年比 2004年度
調剤構成比
2004年度
店舗当り売上げ
平均店舗サイズ
(sqft.)
店舗数
Kinney Drugs 457百万ドル 17.0% 72.0% 6.4百万ドル 9,700 71
Kerr Drug 450百万ドル -5.0% 66.7% 4.3百万ドル 8,400 105
Snyderユs 350百万ドル -52.0% 65.1% 5.0百万ドル 12,000 70
Aurora Pharmacy 300百万ドル 11.0% 97.0% 2.1百万ドル 3,500 140


1)Kinney Drugs

ニューヨーク州の北部に位置する創業103年のKinney Drugsは、ウォルグリーンなど大手ナショナルチェーンの進出により激しい戦いを挑まれているが、しっかりと勝ち残っている。彼らの戦略はモWe Are Localモの合言葉の通り、徹底した地元密着型のビジネスをしていることである。例えば、地元出身の俳優サム・エリオットをコマーシャルに活用し、親しみのある語り口で地元出身の、地元の人たちのための店を訴求している。また顧客の要望に素早く応じて間もなくオープンするセネカフォールズの店は、ガソリンスタンドを併設したし、ソックス、下着、Tシャツなどの実用衣類を充実させ、食品や飲料とあわせて大手ドラッグに無い便利性を強化している。また専門性分野では、調剤及びOTCのより高い専門性で患者一人ひとりの生活習慣を考慮したコンサルテーションを強化している。またメールオーダー調剤にも参入した。このような差別化戦略により、71店舗で年間売り上げ457百万ドルのこの企業は前年比で17%の成長をした。


2)Kerr Drug

105店舗で450百万ドルの売上げを上げる(2004年度は不採算店舗の閉店により前年対比売上げは下落した)ノースカロライナを本拠地とするKerr Drugは、ユ98年に専門性の強いファーマスーテイカルセンターをチャペルヒルにオープンしてから、疾病管理、クリニカルサービス、そして専門性の高い患者ケアに関してファーマシーでは第一人者となった。そして、今年8月にオープンした患者のヘルスに特化した280坪の店は、既存のKerrドラッグの店と同じ敷地にあり、薬剤師のいるファーマスーテイカルケアセンター、医師のオフィスを構えて、患者にヘルスチェック、治療そして疾病管理まで提供出来るようになっている。そして通常のドラッグストアが扱うような多くの商品をやめて、介護用品、介護機器、ヘルスチェックキット、そして生活習慣病患者のヘルシーリビングに必要な商品を揃えている。このような店舗は、Kerrドラッグ105店舗の中にKHCC(Kerr Health Care Center)として13店舗あり、さまざまなクリニカルケアサービスを提供し、介護の専門性を高めている。Kerr Drugのコンセプトは、「他のどのドラッグストアより専門性の高いカウンセリング力を持ち、病気の診断、病状の管理、薬による治療において他社の追随を許さないこと。また総合的且つ便利なヘルスケアとウエルネスケアを患者に提供することにより、どこよりも優れたドラッグストアになること」である。最近の米国の医師は、患者の疾病管理や健康づくりにおいて薬剤師の専門性を尊重しており、今後大手企業との戦いにおいて、このKerr Drugの戦略は小規模ドラッグにとって非常に効果的な戦略であると評価されている。


3)Snyderユs

Snyderユsはミネソタ州を本拠地とするドラッグストアであるが、ディスカウントドラッグという戦略に方向展開したことがこの企業の大失敗で、倒産してしまった。そして倒産後はカナダのドラッグストアで米国への進出を計画していたKatzに買収され、現在展開中である。再度立ち上がるために、ディスカウントドラッグストア戦略をやめ、且つ規模拡大より内部充実戦略、つまり既存店舗の利益向上の為の店舗改装およびコストの削減へと切り替えた。そしてKatzグループの指導により、より贅肉を落として顧客中心主義の運営になった。改装した店そして今後オープンする新しい店はKatzグループのカナダの店に非常に似ている。またPOSレジの性能を上げた結果、在庫、商品の売れ行き動向、商品別売上げ予測等の機能を高めた。このように、中小規模のドラッグストアがディスカウントドラッグ戦略をとるといかに脆いかを見せつけられたケースである。


4)Aurora Pharmacy

ウインスコンシン州をベースに展開する140店舗で300百万ドルの売上げを上げるAurora Pharmacyは、2004年度に前年比11%の売上げ増を記録した。この企業の売上げのほとんどが調剤薬である。信頼の大切さを重視して、過去数年間地域の人々に企業名を浸透させることに力を入れた。140店舗の立地はフリースタンディング、診療所そしてピックンセーブというスーパーマーケットの中のテナント出店だ。そしてきめ細かな患者ケアに徹している。調剤の売上げが殆どだが、単に調剤を提供するのでなく、血糖値、コレステロール、骨粗鬆などのチェックを通して患者の疾病管理をしている。特に増加一途の糖尿病患者ケアに力を入れている。新しい店舗では調剤はもちろんの事こと、OTCや介護用品・機器の充実及びカウンセリングを強化し、プライベートコンサルテーションルームも設置している。また患者は、プライベートウエブサイトをこの企業に接続することによって、自分に適したヘルスケア情報を継続的にもらえる。また選択された店舗に「Quick Care Kiosk」を設置し、看護婦が常駐して風邪、耳痛、妊娠などの診断をして処方箋を書いている。当然のことながら風邪の予防接種も行っている。





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