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■第29回「2005年度のウォルグリーンの実績」(パート2)

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欧米ドラッグ最新事情 第29回
「2005年度のウォルグリーンの実績」(パート2)

ウォルグリーンの基本戦略は不変で、その第一が「専門性」だ。そのため調剤のみならずヘルスケア商品にも力を入れている。特にオルターナティブメディスン(代替医療)の流れからビタミン・ミネラル・ハーブに力を入れたり、ウイメンズヘルス、メンズヘルス、中高年の夫婦用品、ペインマネージメント、フトレスフリー、キッズヘルス、糖尿病ケアなどの新しいカエゴリーを作り積極的に展開した。

化粧品の売上は、ウォルマートに次いで全米第二位である。ウォルグリーンの顧客の65%は化粧品を使っているが、人種・年齢・収入によって求める化粧品の種類が違っている。そのためどの店にもコスメティシャンを配置し、店舗の商圏に合った最適なコスメティック売場を作っている。このビューティーケアコーナーで現在力を入れているのが、アンチエイジング化粧品、ウイメンズヘルス、キッズ化粧、そしてメンズ化粧である。アンチエイジングは高齢化社会を反映して、しみやしわを取る化粧品、しみやしわが出来にくい化粧品、さらにそれらを隠す化粧品が売場を大きく占めている。キッズ化粧の品揃えに力を入れているのは、子供の化粧習慣が早熟化していること、子供に好かれない店は衰退する傾向があること(子供と買物に行く時、大人は子供が好む店を選択する)、そして子供の時に使いなれた店は大人になっても使う傾向があるという考え方からだ。またメンズ化粧は、男性用ヘアカラー・マニキュア・コロン・脱毛等、男性の化粧に対する関心の高まりを受けてである。いずれにしても「貴方のホットルックスを作りましょう」をキーワードに、ルックグッドとフィールグッドを2本柱に、化粧品はもとより、OTC、クスリ、ビタミン類、アロマセラピーという組み合わせでソリューション売場を展開し始めている。そしてヨーロッパ化粧品IsaDoraをウォルグリーン限定で販売し大成功したことは化粧品販売の大きな自信になった。

第二の基本戦略は「便利性」で、ディスカウントストアやコンビネーションストアと戦う為の大きな武器である。商圏は小さく、入りやすく出やすいフリースタンディング立地が、全店舗の84%以上(95年度はわずか31%)を占めるようになった。その上、24時間営業店舗は全店舗の31%(95年度は15%)の1534店舗にのぼり、これは全米24時間調剤店舗の65%のシェアを占める。店舗総数の82%の4085店舗でドライブスルー調剤機能を持ち(95年度は21%)、99%の店で1時間現像の機能を持つ(95年度は8%)。またコンビニエンスフードの品揃えは、間に合わせ食品の便利性要望を満たしている。


◆店舗スタイルの変遷

  2005年 % 1995年 %
総店舗数 4953 100% 2085 100%
フリースタンディング店舗 4160 84% 639 31%
24時間店舗 1534 31% 321 15%
1時間現像機能店舗 4880 99% 162 8%
ドライブスルー調剤機能店舗 4085 82% 441 21%


顧客満足のためにはまず従業員満足が重要だという意識を持っている。そのため外部の人間をスカウトしてマネージメントレベルにつけるのでなく、出来るだけ社内の人間を昇進させるようにしている。それも、現場を経験していることが必須条件になっている。店長⇒ディストリクトマネージャー⇒副社長⇒社長⇒会長という具合だ。

ウォルグリーン社におけるマネージメントの勤続年数は、店長は12.6年、ディストリクトマネージャーは20.3年、ストアオペレーション・バイスプレジデントは28.2年である。これは、ウォルグリーン文化が骨の髄まで染み付いた人だけがマネージメントレベルになれるようになっているということだ。


◆マネージメントの人々の勤続年数

地位 年数
店長 12.6年
ディストリクトマネージャー 20.3年
ストアオペレーション・バイスプレジデント 28.2年


テクニシャントレーニングに力を入れており、全店長はテクニシャンの資格を取ることを求められている。テクニシャンとして調剤室で店長がヘルプすることは店長と薬剤師のチームワークを非常に高める。テクニシャンの63%は国家のテクニシャン試験を受かっている。


【2006年の展望】

A. 出店戦略

1)2010年に7000店舗(2年前まで6000店舗計画を上方修正)計画を達成するために、2006年は475の新店舗を作る。閉店を差し引くと390店舗の増加予定だ。そして新しい地域への展開や比較的新しい地域の店舗数増加政策を打ち出している。その一例が下記の新しい地域だ。店舗の増加が著しい。

地域 2005年 2001年 増加店舗数
アラバマ 46 16 30
カロライナ 117 16 101
ジョージア 96 30 66
南カリフォルニア 166 79 87
ユタ 24 4 20


そしてウォルグリーンとして13軒目になる新しい配送センターを2006年に
南カルフォルニアに作る。

2)アーバンの小さな町へ展開積極出店
「近さの便利性」について、今までは郊外では15マイルまでを便利性としていたが、今後は人々の街中回帰により、家から1〜2ブロックという近さの便利性が必要になるとして、今までの商圏よりさらに狭めた戦略をとる。


B. 店舗戦略

1)顧客サービスの強化
まず顧客の75%を占める女性客の満足度向上のために、商品、クレンリネス、店舗の色使い、そして顧客サービスを見直す。また増加するシニア(個人の金融資産の75%を保持し、医療費の60%を消費)にも愛される店作りに励む。
2)スペシャルティファーマシー(がん、エイズ、不妊症、小人症等の病気用のファーマシー)の展開や、アシスティドリビング向けファーマシーサービス及びクリニックファーマシーの強化
  a) ファーマシー
b) ジェネリックの更なる展開
2006年に下記の調剤薬がパテント切れになり、ジェネリックが導入される。それを積極的に活用し、調剤の利益率向上を目指す

商品 2004年の市場規模
Zocor 46億ドル
Zoloft 31
Pravachol 20
Ambien 19
Zofran 11

  c) メールオーダー調剤に対抗するために90日分の調剤薬の提供も強化する
d) テクノロジー“VISION”の活用
薬剤師の仕事がスムーズに行くようなシステム。忙しい店は手が空いた店で調剤をしてもらう。処方箋をスキャンして記録を保存する。ハリケーンで処方箋を無くした患者もこの記録保存で薬を受けとることが出来た。2006年1月から65歳以上の人々が加入する邦政府保険メディケアが調剤薬もカバーするようになった。調剤枚数が非常に増加するので、薬剤師のワークフローが非常に大切である。




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