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■第32回「ドラッグストアにおける最新のビューティーケア」

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欧米ドラッグ最新事情 第32回
「ドラッグストアにおける最新のビューティーケア」

下記の表に見るとおり、2005年度のビューティーケアマーケットにおいて、チェーンドラッグは好調でどの業態より成長率が高かった。ドラッグストアにおけるビューティーケアの売上げは前年比2.9%成長し、ディスカウントストアの2.4%を上回った。しかしディスカウントストアは135億ドルの売上げをあげて断然トップの51%の市場シェアを確保した。その中でもウォルマートは一社で99億ドルの売上げをあげ、ドラッグストアやスーパーマーケット各業態の売上げより大きいという巨大さだ。


  売上金額 前年比 構成比
全市場 266億ドル +2.2% 100.0%
ドラッグストア 72億ドル +2.9% 27.1%
スーパーマーケット 59億ドル +0.9% 22.2%
ディスカウントストア 135億ドル +2.4% 50.8%


チェーンドラッグ業態好調の要因は、他の業態との徹底した差別化戦略をとったことによる。

  1. ビューテーケアを店舗のデスティネーションカテゴリーとして位置付け

    調剤薬の利益率の低下から、他カテゴリーのデスティネーション化が必要になった。そこでドラッグストアの顧客の80%は女性客であるという特異性から、ビューティケアに白羽の矢がたった。全米第二位のドラッグストアCVSでは、自社のロイヤルティプログラムExtraCareカードからデーターを分析し、ビューテイーケアを求める女性顧客一人一人に、お奨め商品の案内とカンセリングをダイレクトメールで案内することにより「女性客の貴方は特別なお客様です」という戦略をとった。ウォルグリーンでは鏡をふんだんに活用した魅力的なコスメティックコーナーと、気軽に相談できるコスメティシャンを常時配置することにより、顧客が納得購入を出来るようにした。ライトエイドでは売場の真ん中にコスメティックコーナーを配置した“Customer World”というプロトタイプを導入した。

  2. スキンケアカテゴリーの充実

    商品分野ではスキンケアカテゴリーに力を入れた。今まで若い人に焦点を当てていたドラッグストアのビューティーケア部門も、50歳以上の女性に力を入れ始め、他業態との差別化を図っている。コスメティシャンと薬剤師が協力してスキンケア商品を販売することが出来る為、他の業態には無い専門性の力が差別化になるのだ。実際に薬剤師が開発した「eb5」というスキンケア商品も登場している。逆にどこでも販売されているような一般化粧品の売り場は差別化にならないため縮小されている。

  3. コスメスーティカル商品を企業限定商品として導入

    CVSは、4年前に導入したスキンケアや化粧品Lumeneラインの成功で自信を深め、“Skin Effects by Dr. Jeffrey Dover”という皮膚科専門医によって開発されたアンチエイジング商材の導入も実施した。又しわ治療用の高額スキンケアPreventinを導入した。ブルック ス・エカードファーマシーは、ヨーロッパスタイルのDerma Skincare Centerを開設した。スキンケア・アドバイザーを配置し、皮膚診断の出来る機器を設置して、ヨーロッパからの充実したスキンケア商品を品揃えした。そしてスキンケアセンターを調剤室の側に配置することにより、よりヘルスケアの専門性を印象付ける雰囲作りをした。またバス&スパカテゴリーはドラッグストアのスキンケアカテゴリーの専門性を高めた。ライトエイドではヨーロッパラインのSwissologicalというスパスタイルのスキンケア&バスケアラインを導入した。

  4. ドラッグストア市場におけるその他の特色

    1. フレグランス市場の復活
      ドラッグストアにおけるフレグランス市場は数年間の停滞期間を終え、2005年度は女性用男性用ともに好調に推移し、他の業態をしのぐ6.2%の成長を記録した。その要因はアップグレードしたフレグランス商品の販売強化であった。例えばウォルグリーンでは、消費者がそれぞれの商品の香りを自由に試しながら、コスメティシャンと相談をして購入できるスタイルにした。またセレブリティフレグランス(有名人とコラボしたフレグランス)も市場拡大に大きく貢献した。これはコティが2004年にタイタニック号の主題歌を歌ったCeline Dionと組んで企画したCeline Dion Parfumsの成功からスタートしている。

    2. メンズコスメ売り場の拡大
      男性の身づくろいニーズの高まりから、メンズコスメマーケットが広がっている。これには、2006年度には毎日7918人(または毎時330人が60歳へ)が60歳になるという高齢化が影響している。ベビーブーマー世代のシルベスタースタローンなどの60歳への突入は、“Feel Good, Look Good, Stay Young and Sexy Forever”を合言葉に、若々しく且つかっこよく見せることに関心が高まっているからだ。メンズコスメの一番の成長はメンズスキンケアだ。男性も若々しく見せるために、肌の手入れが重要だ。そのため2004年〜2009には70%成長で192百万ドル市場になると予測されている。ベビーブーマーの人々は可処分所得も高いので、値段にこだわらず高価格品でも売れる。実際にロレアルはMenユs Expert Lineを市場化した。CVSドラッグは男性用スカンジナビアブランドを出した。ディープクレンジング、イージーシェイビング、アフターシェイビング、サンケア成分等が入った保湿剤、ローションなどだ。又若い人の身づくろいへの関心も高まっている傾向があり、その人たちも引きつける売り場作りを強化している。

    3. ドラッグストアが強いカテゴリー/弱いカテゴリー
      ドラッグストアの市場シェアをカテゴリー別に見ると、コスメティックの専門性の高いカテゴリーは市場シェアが高く、トイレタリーに近づくほど市場シェアが低くなっている。


市場シェア カテゴリー名
60%を越える市場シェアカテゴリー ネイルポリッシュ、女性用フレグランス、
リップ用コスメティック、フェース用コスメティック
40〜60% フェイシャル保湿液、シェイビングローション&コロン、
フェイシャルクレンザー、ヘアスタイリング、
ハンドボディーローション、アイ用コスメティック
40%以下 シャンプー、フケ用シャンプー、ヘアスプレー、
使い捨てカミソリ、ヘアコンディショナー&リンス


◆2005年度ビューティケアカテゴリー別売り上げ
(ウォルマートの売上げを除く)

カテゴリー 合計
(百万ドル)
前年比
(%)
ドラッグストア
(百万ドル)
前年比
(%)
市場シェア
(%)
シャンプー(レギュラー) 998 +1.3 283 +4.9 28.3
フェース用コスメティック 905 +2.7 543 +3.6 60.0
アイ用コスメティック 820 +8.6 474 +9.4 57.8
ヘアコンディショナー&リンス 813 +4.3 278 +6.7 34.2
ハンド&ボディーローション 805 +8.5 380 +8.7 47.2
リップ用コスメティック 614 -2.3 405 0.0 66.0
ヘアスタイリング 576 +3.2 262 +5.1 45.5
フェイシャルクレンザー 538 +2.4 244 +4.6 45.4
女性用フレグランス 499 +3.1 311 +6.2 62.3
使い捨てカミソリ 423 +7.7 135 +10.2 31.9
ヘアスプレー 366 +1.0 146 +3.7 39.9
シェイビング・ローション/コロン 359 +10.7 191 +8.2 53.2
フェイシャル保湿液 272 +5.4 143 +6.9 52.6
フケ用シャンプー 251 +2.1 86 +1.9 34.3
ネイルポリッシュ 239 -1.8 152 -1.8 63.6





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