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■第39回「最近の米国の消費者の選ぶ業態とその理由」

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欧米ドラッグ最新事情 第39回
「最近の米国の消費者の選ぶ業態とその理由」

◆トップ20調剤チェーン

業態 主な選択動機 重要な機能 買い物
頻度
買い物
時間
買い物
金額
計画
購買率
チェーンドラッグ ・調剤薬
・OTC(大衆薬)
・便利性
・ヘルスケア
・ビューテイーケア
2回/月 20分 $40〜50 55%
スーパーマーケット ・日常の食品 ・便利性
・幅広い品揃え
1回/週 30分 $76〜95 58%
ディスカウントストア ・ジェネラルマーチャンダイズ商品 ・低価格
・幅広い品揃え
1回/週 40分 $70〜85 63%
コンビネーションストア ・日常の食品 ・幅広い品揃え
・低価格
1回/週 45分 $95〜120 54%
スーパーセンター ・日常の食品
・ジェネラルマーチャンダイズ商品
・低価格
・幅広い価格
・ワンストップショッピングの便利性
1.5回/週 50分 $90〜110 63%
ホールセールクラブ ・食品
・オフィス用品
・季節商品
・お買い得感 2回/月 75分 $120〜145 35%
ダラーストア ・家庭用品
・パーソナルケア商品
・低い価格 1回/週 20分 $18 34%
インターネット ・色々な商品 ・便利性
・幅広い品揃え
3回/週 100分 $90〜160 25%


米国の消費者は色々な業態を使い分けている。ラッチャー・プレスリサーチの調査によると、2006年度の「米国の消費者の選ぶ業態とその理由」が上記の表のように報告されている。米国では大衆薬は自由販売でどの業態も販売できるし、調剤薬も多くの業態が手がけている。日本では2009年から大衆薬の規制緩和がスタートし、調剤薬も多くの業態が扱うようになるだろう。まさに米国と同じ状況になっていくのだ。この調査の結果は日本のドラッグストアが他の業態とどのように戦ったらよいかを示唆している。


  1. チェーンドラッグ
    チェーンドラッグを選択する一番の理由は調剤薬やOTCを求めることだ。そしてこの業態に求める機能は、便利性とヘルスケア及びビューティーケアの専門性だ。買い物頻度は月2回とここ数年変わっていないが、他の業態と比較すると低く、来店頻度の向上がチェーンドラッグの更なる飛躍のためのカギとなっている。1回当りの買い物時間は20分である。一回当りの買い物金額は40〜50ドルで2005年より10ドル上昇した。しかし計画購買率が55%と前年の47%より高くなっている。衝動購買は売上げ利益を店に運ぶので、衝動購買が計画購買を上回るようにしなければならない。

  2. スーパーマーケット
    主な目的は何といっても毎日の食材の購買だ。求める機能としては、便利性と幅広い品揃えだ。買い物頻度は週に一回である。問題は、2005年度と比較して買い物に使う時間が5分短縮化され30分になったことだ。滞店時間が長くなるほど衝動買いやついで買いが増加するので、売上げや利益が向上する。滞店時間を延長するために、楽しい快適な店作りが求められている。

  3. ディカウントストア
    ディスカウントストアにおける買い物頻度は週に1回だが、人々は低価格と幅広い品揃えに魅力を感じて利用している。買い物時間は2年前の45分から5分短縮されてしまった。

  4. コンビネーションストア
    スーパーマーケットと同じで、毎日の食事の材料を購入することが業態選択の最大の理由だ。そして消費者は低価格と幅広い品揃えを重要視している。週に一回の買い物頻度で、買い物時間は45分だ。

  5. スーパーセンター
    ここ数年間スーパーセンターは恐れを知らないほどの順調振りであった。しかしその業態に強敵が出現した。それはインターネットショッピングだ。スーパーセンターの強い武器である「低価格」「幅広い品揃え」そして「ワンストップショッピングの便利性」のどの機能も持つからだ。スーパーセンターで購入する商品は食品とジェネラルマーチャンダイズ商品だ。買い物頻度は週に1.5回で店舗形態を保有する小売業では一番高い。買い物時間は2005年度と比較すると5分短縮し50分になった。

  6. ホールセールクラブ
    女性客、男性客とも支持率が年々高まっている。購入する商品は食品、オフィス用品、季節商品だが、掘り出し物が必ず出るのでそれを楽しみにしている顧客が多い。月2回のショッピングだが、2005年度の100分の買い物時間から75分に落ちた。

  7. ダラーストア
    買い物の目的は家庭用品やパーソナルケア商品だ。週一回の買い物頻度で20分の買い物時間だが、低価格が一番の魅力だ。

  8. インターネット
    オンラインショッピングで使われている金額は機関によって違いがあるが、共通しているのは急速に成長しているということだ。それは消費者がインターネットに慣れ、抵抗感がなくなったからだ。


年齢別そして収入別に見てみよう。

チェーンドラッグは圧倒的に女性客が多く80%近くを占めるが、その中でも55〜70歳の人が一番利用する。男性も同じだ。収入別に見ると7万ドル以上の人々が一番利用している。25千ドル以下の人々の利用率が多いのはメディケイドという貧困者用の公的保険が調剤薬に適用されるからだ。ドラッグストアの強敵であるコンビネーションストアとスーパーセンターを見てみると、コンビネーションストアを一番利用する客層は35歳以下又は35〜54歳の中年で、年収は7万ドル以上と高額所得者だ。スーパーセンターは35歳以下で所得は中間所得者だ。興味深いのは、インターネットの利用者はまだ男女とも低いが、利用しているのは35歳以下の若い人たちで、所得が上るにつれ利用率が高まり7万ドル以上の高額所得者が一番の利用者であることだ。


◆年齢別業態利用度

業態 女性 男性
全体 35歳以下 35〜54歳 55〜70歳 全体 35歳以下 35〜54歳 55〜70歳
チェーンドラッグ 73% 70% 77% 81% 68% 60% 67% 75%
スーパーマーケット 84% 83% 84% 83% 83% 90% 83% 91%
ディスカウントストア 87% 91% 89% 92% 86% 87% 85% 88%
コンビネーションストア 73% 83% 79% 73% 84% 90% 91% 78%
スーパーセンター 60% 65% 59% 55% 54% 56% 55% 52%
ホールセールクラブ 54% 49% 60% 54% 44% 38% 40% 62%
ダラーストア 75% 74% 77% 67% 53% 60% 56% 46%
インターネット 13% 29% 23% 5% 38% 40% 29% 10%


◆収入別業態利用度

業態 女性 男性
$25千未満 $25千〜
$45千
$45千〜
$70千
$70千以上 $25千未満 $25千〜
$45千
$45千〜
$70千
$70千以上
チェーンドラッグ 70% 71% 74% 78% 79% 51% 64% 80%
スーパーマーケット 75% 80% 84% 83% 88% 73% 85% 90%
ディスカウントストア 91% 88% 92% 90% 75% 83% 87% 85%
コンビネーションストア 70% 76% 80% 90% 73% 77% 81% 86%
スーパーセンター 63% 61% 64% 62% 53% 66% 45% 57%
ホールセールクラブ 32% 46% 59% 70% 30% 35% 51% 52%
ダラーストア 80% 62% 54% 44% 51% 53% 52% 35%
インターネット 6% 16% 29% 36% 9% 19% 34% 44%


このように見ていくと、日本のドラッグストアも他の業態と戦うためには、中・高年の人々を第一のターゲット客という位置付けをして、「ヘルスケアとビューティーケアの専門性」と「便利性」にさらに磨きをかける必要があることが分かる。





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