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■第40回「米国の医薬品卸売り業」

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欧米ドラッグ最新事情 第40回
「米国の医薬品卸売り業」

近年ドラッグストア業界は合併や会社清算などと騒々しいが、医薬品卸売業は順調に業績を伸ばしている。それは主に高齢社会の到来によって調剤薬の需要が増加したからだ。2005年度を見ても卸売業の売上げは前年比9%も成長し、2017億ドルの売上げを記録した。その成長の大きな要因は、調剤薬が12.2%成長して1921億ドルの売上げを上げたことによる。ブランド調剤薬は11.3%成長し、1712億ドルの売上げだったが、ジェネリックドラッグはわずか1%の売上げ増で168億ドルであった。しかし今後5年間に700億ドル以上のブランド調剤薬のパテントが切れ、その結果2011年までにジェネリック薬は全処方数の60%を超えると予測され、ジェネリック薬の売上げ拡大が期待されている。一方OTC、ヘルス&パーソナルケア関連商品、ジェネラルマーチャンダイズ商品、医療機器及び介護商品はいずれも売上げ減を記録した。今では調剤薬の売上げ構成比が95%を占め、その他は5%になってしまった。


◆医薬品卸業界カテゴリー別売上

カテゴリー 売上げ(億ドル) 構成比(%)
2005年
(前年比)
2004年 2005年 2004年
ブランド調剤薬 1,712
(+11%)
$1,538 84.9 83.1
スペシャルティブランド調剤薬 41
(+413%)
8 2.1 0.5
ジェネリック調剤薬 168
(+1%)
166 8.3 9.0
調剤薬トータル合計 1,921
(+12%)
1,713 95.2 92.5
OTC 55
(-37%)
87 2.7 4.7
ヘルス&パーソナルケア 18
(-40%)
30 0.9 1.6
ジェネラルマーチャンダイズ 6
(-33%)
9 0.3 0.5
介護機器/介護用品 9
(-25%)
12 0.4 0.7
その他 9
(+800%)
1 0.4 0.0
総合計 2,017
(+9%)
$1,851 100.0% 100.0%


取引先を見てみると、チェーンストア及び独立ドラッグで約58%を占めている。その中でもチェーンドラッグ、ウエアハウスクラブ、そして独立ドラッグへの販売量が増加している。一方、非小売への販売は8ポイント近く落としており、その中でも病院やクリニック&ナーシングホームへの売上げが急減している。


◆業態別取引先

業態 売上げ(億ドル) 構成比(%)
2005年
(前年比)
2004年 2005年 2004年
チェーンドラッグ 421
(+21%)
348 20.9 18.8
ディスカウントストア及フードストア 251
(+15%)
218 12.4 11.8
ウエアハウスクラブ 114
(+65%)
69 5.7 3.7
チェーンストアセールス合計 786
(+24%)
635 38.9 34.3
独立ドラッグストア 378
(+30%)
291 18.7 15.7
病院及びHMO 343
(-14%)
398 17.0 21.5
スペシャルティファーマシー 1
(0%)
1 0.0 0.0
クリニック&ナーシングホーム 207
(-22%)
264 10.2 14.3
メールオーダー 126
(+18%)
107 6.2 5.8
その他ディストリビューター 50
(+4%)
48 2.5 2.6
政府機関 84
(+35%)
62 4.2 3.4
その他 44
(-4%)
46 2.2 2.5
総合計 2,017
(+9.0%)
1,851 100.0% 100.0%


利益に関してはわずかだが前年度より回復した。粗利益率は0.09%増加して3.83%に、そして営業利益率は0.1%向上して1.8%になった。


◆医薬品卸売り業界収益率

利益率 2005年 2004年 2001年
粗利益率 3.8% 3.7% 4.3%
営業利益率 1.8% 1.7% 2.1%
税引き前純利益率 1.4% 1.2% 1.1%


卸業No.1のマッケソンは881億ドルの売上げで、前年比9.9%の売上げ増を記録した。メディケアパートD、調剤薬の価格の変更、その他多くの変化に対してマッケソンの極めて優れたテクノロジーサービスは多くのドラッグチェーンにとって非常に役に立った。またこの会社はジェネリック薬の活用にも力を入れており、「ワンストップ・ジェネリックプログラム」を開発して小売店に役立つようにしている。

マッケソンの戦略の一つにドラッグストアの在庫の生産性向上がある。その一つが「マッケソンン・セントラルフィルシステム」だ。小売店に変わって調剤を作るシステムで、その分ドラッグストはカウンセリングに時間を使える。またRFID(Radio Frequency Identification)の活用も進んでいる。

マッケソンは「ヘルスマート」と呼ぶフランチャイズプログラムを2006年の6月に発表した。店舗数は2006年末で1100店舗、2007年末までには3000店舗にする予定だ。このプログラムが他のフランチャイズプログラムと異なってユニークなのは、まず加盟料や売上げに応じたロイヤルティフィーがないことだ。その代わり毎月350ドルの支払いが求められる。また10年契約の前に契約を打ち切りたい場合は90日前までにマッケソンへ通知するだけでよい。現在すでにバリューライトというフランチャイズプログラムがあるが、全てヘルスマートプログラムに切り替わる。参加小売店は今までの自分の企業の看板で運営出来るが、「ヘルスマート」の名前を追加する必要がある。

業界No.2のカーディナルはわずかの差でマッケソンンに1位の座を譲っているが、前年比10.0%の売上げの増加を記録した。この会社は独立ドラッグが大手企業と伍して戦っていけるように、「リーダー・トータルファマシーマネージャー」というプログラムを導入した。これは「マージン・スイート」と「セールス・スイート」との2つによって構成されておいる。「マージンスイート」は売掛金、在庫、利益率、適切価格、売上げ機会損失に焦点が当てられている。「セールススイート」はセルフサービス売り場作りに焦点が当てられており、看板、エクステリア、インテリア、POP、レイアウト、プライベートブランド、プラノグラム、広告、販促、売上げ分析、ミニクリニック導入の手助けなどをする。


◆米国トップ医薬品卸売業

(2006年3月31日末)
順位 会社 売上金額 前年比 営業利益率
1位 Mckesson Supply Solutions $881億ドル +9.9% 1.5%
2位 Cardinal Health 814 +10.0 1.5
3位 AmerisourceBergen Drug 546 +2.7 1.3
4位 Kinray 38 NANA NA
5位 HD Smith Wholesale Drug 24 NA NA





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