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「2006年度のウォルグリーンの実績(パート1)」 |
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1)実績と成長性 調剤の乳鉢にウォルグリーンの頭文字Wを入れた新しいトレードマークを06年に導入したウォルグリーンは、8月31日に会計年度を終え同年の業績が発表されたが、32年連続増収増益という新たな金字塔を打ち立てた。売上474.1億ドル(前年比12.3%増)、税引後純利益17.5億ドル(前年比12.3%増)の好調な業績が報告された。粗利益率27.8%、販売管理費22.1%、営業利益率5.7%を確保し、株主資本収益率は18.4%となった。一日の来店客数4.7百万人、店舗平均売場面積309坪で、店舗平均年間売上8.5百万ドルであった。坪当年間売上は27,396ドルでドラッグストア業界ではNo.1である。この業績は全米47州とプエルトリコで展開している5,461の店舗、3つのメールサービスの施設、38ヶ所のホームケア施設、18ヶ所のインストアクリニック、そして5ヶ所のスペシャルティファーマシーと195,000人の従業員によってなされた結果である。 素晴らしいのは既存店が順調に成長していることだ。前年比で見てみると、全売上において7.7%、調剤9.2%、セルフ売り場5.3%の成長であった。 |
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◆ウォルグリーン2006年度の業績
◆ウォルグリーン成長率の推移
◆ウォルグリーン粗利益率と販売管理費の推移
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10年前の1996年からの比較を下記の表で見てみよう。 これを見るとウォルグリーンの売上及び税引後利益は5年ごとに約倍になっている。10年間の年平均売上伸張は3563百万ドル(約4200億円 1ドル=120円換算)で、日本のNo.1ドラッグストアの年間売上よりはるかに高い数字をあげている。店舗数増は10年間の平均で見てみると、年平均約330店舗の増加だ。米国も日本同様薬剤師不足の問題は深刻だ。しかしウォルグリーン社の「米国の国家及び国民に信頼されるファーマシーを作り、地域の人々の健康に貢献する」という企業理念に引かれて入社を希望する薬剤師が多く、それ程の苦労もなく薬剤師確保が出来ている。またエグゼキュティブ副店長が十分にトレーニングされているため、新任店長になることに全く支障はない。 長期借入金が非常に少なく無借金状況だ。彼らは新店舗や配送センターの建設はあくまでキャッシュフローの範囲内に止めるという方針をとっており、非常に健全な経営をしているのが分かる。2006年ベースで見てみると、店舗を所有しているのは総店舗の18.3%だけで、残りは20~25年のリースだ。その結果他のチェーンドラッグのROEは12%以下というのが実態だが、ウォルグリーンは18~19%台を確保しており、いかに成長性及び収益性の高い経営をしているかが分かる。 |
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◆10年間の推移
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2)強化するヘルスケアの専門性 ウォルグリーンは年間529百万枚の処方しており、これは小売全調剤の15.4%%のシェアを占めることになる。米国一の大きな調剤の売上を持つ企業である。調剤薬の売上は全店で13.4%成長し、既存店では9.8%の成長であった。商品構成比で見てみると、調剤薬が全売上の64%を占めており、その構成比は年々増加している。第三者機関(マネージドケア、政府及び民間保険)関連の調剤売上は、ウォルグリーンの全調剤売上の93%を占めるようになり、現金調剤は7%に落ちてしまった。これが調剤の粗利益を落とす大きな問題になっている(1990年には35~40%の利益があったが、現在では22%程度)。調剤利益率の向上の為にジェネリックの活用を推進しているが、これはヘルスケアコストを削減するのに加えて、店に利益を運ぶと言うことでWin-Win商品になっている。 |
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◆ウォルグリーンにおける調剤薬保険支払い推移
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シニアディビデンドというプログラムを実施しているが、これは55歳以上の調剤の現金客は、支払った金額の10%をウォルグリーンの店で使うことが出来るというプログラムである。例えば60ドル支払った場合、6ドルを他の商品の購入に活用出来るのである。シニアディビデンドカードは勿論貯めることも出来るし、どのウォルグリーンでも使用することが出来る。これは顧客のロイヤルカスタマー化と調剤の利益率向上の為の戦略である。 メールオーダー調剤の急速な成長に対抗するため、「アドバンテージ90」というプログラムの名のもとに、90日調剤を2年前から実施している。メールオーダーの場合、保険会社は90日分の処方薬の提供を許しているが、小売店経由の場合は90日処方に対しては保険会社からの戻り金が非常に少なくなる(保険会社がメールオーダー会社を所有しているケースが多く、有利にするために仕組まれている)ので、ドラッグストアはやりたがらなかった。このことが小売店の調剤薬シェアをメールオーダーが奪う要因の一つになっていた。 処方した調剤が自動的にクレジットカードにチャージされ、支払いに時間をかけなくてすむExpressPayシステム、リフィル調剤の期日が来ると電話やイーメールで患者に知らせ、薬の処方忘れを防いでくれるオートリフィル、小さな文字が苦手な人には、大きな文字の服用指導書の提供、薬剤師の仕事がスムーズに行くよう忙しい店は手が空いた店で調剤をしてもらったり、処方箋をスキャンして記録を保存する “VISION” テクノロジーの活用など調剤部門の強化を積極的に進めている。 面白いのは商圏の人種に合わせる為に、日本語、中国語、フランス語、ポルトガル語、ポーランド語、ロシア語、ベトナム語、スペイン語、英語等、13ヶ国語で調剤のラベルがプリントされることで、現在では英語以外の言語の調剤ラベルを求める顧客が増加し、06年度は460万人の患者がこのサービスを受けた。また「Dial-A-Pharmacist」というプログラムにより、上記の13ヶ国語を母国語とする患者がその言葉を話せる薬剤師と電話でコミュニケートすることが出来るようになった。 またスペシャルティファーマシー(がん、エイズ、不妊症、小人症等の病気用のファーマシー)の展開や、アシステッドリビング向けファーマシーサービス及びクリニックファーマシーの強化にも努めている。 調剤のみならずヘルスケア商品にも力を入れている。世の中のオルターナティブメディスン(代替医療)の流れから、ビタミン、ミネラル、ハーブを強化したり、ウイメンズヘルス、メンズヘルス、セックスエンジョイメント、ペインマネージメント、フトレスフリー、キッズヘルス、糖尿病ケアなどの新しいカエゴリーを作って積極的に展開した。また2006年にミズーリー州で店内ヘルス・コーナークリニックを16店舗開設したが、評判が非常に良いので、シカゴ、アトランタ、ラスベガスと展開を広げている。 |
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