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「2006年度のウォルグリーンの実績(パート2)」 |
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3)ビューティーケアをデスティネーション化部門へ 他業態を含めた競合との差別化のためにビューティーケア部門をデスティネーション化しており、化粧品の売上はウォルマートに次いで全米第二位である。ウォルグリーンの顧客の65%は化粧品を使っているが、人種・年齢・収入によって求める化粧品の種類が違う。そのためどの店にもコスメティシャンを配置し、店舗の商圏に合った最適なコスメティック売場を作っている。このビューティーケアコーナーで現在力を入れているのが、アンチエイジング化粧品、ヨーロッパブランド、キッズ化粧、そしてメンズ化粧である。アンチエイジングは高齢化社会を反映して、しみやしわを取る化粧品、しみやしわが出来にくい化粧品、さらにそれらを隠す化粧品が売場を大きく占めている。フランス、ドイツ、ギリシャ、スペイン、スイスなどのヨーロッパの化粧品ブランドを積極的に導入しているが、05年にヨーロッパ化粧品IsaDoraをウォルグリーンで限定販売し大成功したことが大きな自信になったからだ。ヨーロピアンビューティーコレクションは1000店舗の店で導入されている。これらの百貨店ラインのブランドは忙しい女性が大きなショッピングセンターへ行かなくても購入できる便利さを提供している。 キッズ化粧の品揃えに力を入れているのは、子供の化粧習慣が早熟化していること、子供に好かれない店は衰退する傾向があること(子供と買物に行く時、大人は子供が好む店を選択する)、そして子供の時に使いなれた店は大人になっても使う傾向があるという考え方からだ。またメンズ化粧は、男性用ヘアカラー・マニキュア・コロン・脱毛等、男性の化粧に対する関心の高まりを受けてである。2006年には有色人女性向けにメWomen of ColorモスキンケアシステムをPBで導入した。 ビューティーケアコーナーは「貴方のホットルックスを作りましょう」をキーワードに、ルックグッドとフィールグッドを2本柱に、化粧品はもとより、OTC、クスリ、ビタミン類、アロマセラピーという組み合わせでソリューション売場を展開し始めている。 4)コンビニエンス性はウォルグリーンの生命線 ウォルグリーンにとって、ディスカウントストアやコンビネーションストアと戦う為に「便利性」が大きな武器になっている。入りやすく出やすいフリースタンディング立地が、全店舗の86%以上(95年度はわずか31%)を占めるようになった。24時間営業店舗は全店舗の29%(95年度は15%)の1578店舗にのぼり、これは全米24時間調剤店舗の65%のシェアを占める。店舗総数の84%の4562店舗でドライブスルー調剤機能を持ち(95年度は21%)、97%の店で1時間現像の機能を持つ(95年度は8%)。またコンビニエンスフードの品揃えは、間に合わせ食品の便利性要望を満たしている。調剤薬やデジタルプリントはインターネットで注文し店でピックアップするという傾向が増加しているが、忙しい人にとって大変な便利性の提供になっている。 |
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◆店舗スタイルの変遷
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5)2010年には7000店舗の目標達成のために積極的な出店戦略 2010年までに7000店舗を目標にしているが、06年度は476店舗07年度は500新店舗をオープンし、100店舗を閉店するためにネット400店舗を増加する。メイン州にも出店するので、全米の48州をカバーすることになる。 他のチェーンドラッグが規模拡大のために合併戦略を取るのに反して、ウォルグリーンはあくまで自前で店舗を増やしている。吸収されるような企業には、消費者から見放されるような悪い企業文化が根付いていることが多く、それが顧客第一をモットーにするウォルグリーンの企業文化をおかしなものにする危険があるからだ。しかし2006年にはデラウエア州のハッピーハリーを76店舗買収した。これは例外的なことだが、企業理念が非常に似通っていることと立地が優れていることがその決め手となった。2005年の平均店舗年令は5.4才と若かったが、今はさらに若くなっており、店はいつもクリーンですがすがしい。 今後は不動産コストの高い南カリフォルニアや人口密度の高い東海岸のダウンタウンに積極的に出店するために、店舗サイズや店構えにはより柔軟性を持たせるようにしている。これまでも立地に関してプロトタイプサイズという考え方は無く、良い立地に店作りを合わせていくという考え方で成功してきた。サンフランシスコ地区はその良い例だ。今後その考え方をさらに強化するため、マーケティング部門のトップ4の1人であるウエストン氏を小さなサイズの店舗における品揃えというプロジェクトに専任させている。 6)商圏に適応した商品戦略 品揃えにおいても、商圏の顧客からメMy Walgreenモと呼ばれるように、店長の判断で適切な商品を導入している。例えば化粧品コーナーでは50種類のパターンを持っており、南カリフォルニアのようにヒスパニック系の多い地域では、濃い目の色の化粧品やメキシカンスナックを強化している。シニアの多い地域では杖、ウォーカー、血圧計、失禁用品の品揃えを、ダウンタウンではフットケア商品を強化している。 2006年に力を入れた商品群には、ヘルスケアは勿論のこと、コスメ、スキンケア、PB、コンスーマブル(コンビニエンス食品及び消耗雑貨)、シーズン商品、新製品などがある。コンスーマブルは来店頻度を増加させる重要な商品として位置づけ、品質及び利益率の向上に力を入れる。 デジタルフォトは06年度に58%の売り上げ増を記録した。walgreen.comへ家庭から送信すると1時間後に近くの指定したウォルグリーンの店でプリントを受け取れるようになっている便利さが受けたのだ。例えば、転勤でドイツに住んでいる家族はコンピューターを持たない母親に孫の写真を送るために、ウォルグリーンにインターネットで送り、母親は近くのウォルグリーンでその写真の紙焼きをピックアップすることが出来るのだ。今ではウォルグリーンのDPEの22%はインターネット経由で来るようになった。 ウォルグリーンのインターネット経由で店舗でピックアップする調剤やDPEの注文の増加は、インターネットのみで販売している車椅子、スクーター、エクササイズマシンーンの注文が増加するという相乗効果があった。 プライベートブランドとエクスクルーシブブランドの売上げは全体の17%にもなっている。ウォルグリーンのプライベートブランドの売上げは、全米チェーンドラッグのプライベートブランドの46%のシェアをもっている。 |
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◆商品構成
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7)売り場作り ウォルグリーンの店は顧客がどのウォルグリーンに行っても分かりやすいように基本売り場のレイアウトは定型型にしているが、品揃えや陳列量などは店長判断にしている。商圏や立地の性格に合わして店作りをすることに力を入れ、ノンプロトタイプ型の店を意識的に増加させている。 ウォルグリーンの顧客の75%は女性である。女性は来店一回当りで男性客をより20%購買単価が高い。米国での女性の購買パワーは6兆ドルを超えているといわれ、小売業は 女性に大きな関心を払っている。ウォルグリーンでは内装・品揃え・陳列方法全てに対し「女性フレンドリー」つまり女性に優しい店作りに勤めている。 また増加するシニア(個人の金融資産の75%を保持し、医療費の60%を消費する)にも愛される店作りに励む。1946〜1964年の間に誕生したベビーブーマーと呼ばれる7800万人の人口層はアンチエイジングスキンケア、ローファット食品、健康食品を初め、質の高い生活を送るための商品のメジャーな消費者層だ。品揃え、店の明るさ、POPの読みやすさ、接客などシニア客を意識した店作りをしている。 環境問題に対応するために06年にソーラシステムを100店舗で導入し、店舗で使用する電力の20%をまかなっている。顧客にとって快適な店でありながらしかも省エネ対策もとっている。 8)配送センター ウォルグリーンとして13軒目になる新しい配送センターを06年に南カルフォルニアに作った。全配送センターで毎日550台のトラックが2000万ケース以上の荷物をからいずれかの店舗へ運んでいる。今年度はサウスカロライナ州アンダーソンに、叉2009年にはコネチカットウインザーに追加の配送センターを建築予定だ。この両方のセンターの従業員の1/3は身体に障害のある人で占められる予定だ。 権威あるフォーチューン誌による“最も賞賛される企業のフード&ドラック部門”で、ウォルグリーンは2006年度も前年度に引き続いてNo.1の地位を獲得した。雑誌バロンズによると、ウォルグリーンは世界で最も尊敬される企業トップ10の中の一社だ。 友人の幹部からの情報だが、最近退任したCEOのバーナウアー時代は企業業績の数字に固執し過ぎたため、人(顧客及び従業員)に対する優しさに欠けているところが散見された。新しいCEOのレインは、人への優しさを強調しているとのことだ。今年はホスピタリティに溢れたウォルグリーンを見られるかもしれない。 |
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